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磁石FAQ一覧

(Q)フェライト磁石から希土類磁石への置換えでの注意点は?
(A)フェライト磁石と較べてエネルギー積が10倍以上大きい希土類磁石へ置換えることにより、装置の小型化や軽量化は容易に達成できます。しかし、同様に低コスト化も期待できるかということについては注意が必要です。性能の向上やコストパフォーマンス、消費電力低減など、製品全体に対する置換効果を十分にお考えの上ご判断下さい。
また、希土類磁石の電気伝導率は、フェライト磁石と較べて非常に大きく、モータ等の交番磁界が発生するような環境では、渦電流による発熱も考慮しなければなりません。しかも、希土類磁石はフェライト磁石とは全く異なる熱膨張率を示すため、使用状況に応じた接着剤の選定も非常に重要になります。
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(Q)SmCo磁石からNdFeB磁石への置換えでの注意点は?
(A)Nd系磁石は、SmCo磁石と比べると、耐食性や耐熱性の点で劣ります。そのため、磁石にはメッキや塗装などの耐食コーティングを施す必要があり、しかも、高温で使用する際には、Nd磁石の保磁力を使用温度に合わせて適切に選定しなければなりません。
また、水素ガスや腐食性ガスが存在する場合には、Nd系磁石はSmCo磁石より容易にそれらと反応するので注意が必要です。各種放射線に対する耐性に関してもSmCo磁石より劣ります。
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(Q)コストを抑える為の方法はありますか?
(A)低コスト化の最善の方法として、磁気回路の最適設計および使用温度環境の適正化が挙げられます。まず、磁気回路の最適設計ですが、磁気回路のヨーク形状や磁石配置を最適化すれば、磁石重量を低減することができます。 次に温度環境についてですが、Nd系磁石のおける耐熱性の指標となる保磁力iHcは、Dy等の重希土類元素を添加することで向上します。したがって高耐熱性グレードは、重希土類元素のDyを大量に含んでいるために高価になってしまうのです。外部環境からの影響を少なくし、磁石の温度が上昇しないように工夫すれば熱減磁の恐れも低下するので、よりDy量の少ないグレードに置き換えが可能になります。また、磁石形状を単純化できれば加工コストも削減できるので、一層の低コスト化が可能です。
弊社では、お客様のご要望に応じた磁場設計・磁石材質の選択等の技術サポートを行っています。詳細につきましては弊社営業までお問い合わせください。
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(Q)希土類原料の供給は問題ないのでしょうか?
(A)希土類磁石の主要希土類元素であるNd元素に、資源的な問題はそれほどありません。「希土類磁石の基礎」の項でも述べましたが、NdはCoやCuなどと同程度の量で地殻に含まれており、それほど希な元素ではないのです。さらにNdを産出する鉱床で埋蔵量の大きなものが、世界中のいろいろなところに存在していることも判っています。Ndの需要が増えれば、市場の要求に合わせてそれらの鉱山からNdが採掘、生産されて行くと思われます。
一方、Nd磁石の重要な添加元素であるDyは、Ndと多少事情が異なります。Dyの地殻中での存在量はNdの約1/5です。磁石に使う量はこの割合より少ないので、それほど問題がないようにも思われます。しかし問題はDy鉱床の質にあります。経済的にDyを取り出せる有用な鉱床が少ないのです。資源的に見ればDyを含む鉱床は、世界中のいろいろなところに存在します。しかしそれらは含有量が少なかったり、環境問題があったりして、経済的に成り立たないのです。経済性のある採掘可能なDy鉱床は、現在ほとんど中国にあります。中国政府が早くからNd磁石に注目し、国家として希土類資源の開発を行なってきた歴史があるからです。
では中国に偏在しているDyの供給に問題があるのでしょうか?これは難しい問題です。明快な答えを示すことは困難です。しかしながら我々は一応次のように考えています。過去いろいろな資源の危機が叫ばれました。しかし本当に危機的状況に至ったものはほとんどありません。それは、特定の資源の必要性が認識されると、新たな開発が進んで鉱床の発見や採掘技術の向上が行なわれるからです。商売になるのなら、その対策となるビジネスが発展するのです。実は、Dy鉱床の研究というのはこれまでそれほど精力的には行なわれていません。中国国内で盛んに探索されたのと同じように詳細な資源探査は、世界においてはまだそれほど実施されていないのです。最近の資源探査の研究で新たなDy鉱床の可能性が報告されています。東南アジア、オーストリア、カナダなどでDy鉱山の開発が進められています。確かに、Nd磁石の発展に対して資源開発の遅れている側面は見受けられます。今後Dyの需要と供給に時間差の現れる可能性はあります。しかし、究極的にはDyの資源開発が進み、磁石に必要なDyは確保できるものと考えています。
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(Q)実現可能な最小サイズはどの程度でしょうか?
(A)一般に、焼結磁石は最終形状に仕上げるための研削加工工程を経て製品となります。NdFeB磁石は加工によって表面粒子が劣化します。磁石が大きい場合、加工劣化は無視しても差し支えないほど小さいのですが、磁石体が小さくなると加工劣化層の体積分率が大きくなり、磁気特性にも悪影響が生じます。例えば、磁石寸法が1mm×1mm×1mmでは加工劣化が約3%になります。加えて、劣化層領域では容易に磁化反転してしまいますので、フラックスの減少量は体積分率の2倍以上となります。さらに微小な磁石、例えば0.5mm×0.5mm×0.3mmの場合、フラックスはカタログ値よりも30%も低下してしまいます。しかし、加工劣化層の保磁力は、熱処理や化学的処理により、ある程度回復させることができます。
SmCo磁石で、NdFeB磁石のような加工劣化が生じることはありません。ただし、材料自体が脆いので、微小磁石への加工あるいは組み立て中に、「割れ」や「欠け」が発生しやすくなります。
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(Q)熱減磁しました。再着磁すれば問題ないですか?
(A)どの程度の温度環境で熱減磁したのかによって、再着磁後の特性が変わります。例えば300℃を越えるような高温環境で減磁した場合、磁石が変質している恐れがありますので、必ずしも同じ特性の磁石が得られるとは限りません。一方、300℃以下での熱減磁であっても、表面処理品ではコーティングが劣化している可能性があります。特にNiメッキ品の場合は、100℃以上に過熱すると表面劣化が顕著になります。
また、接着剤で固着された磁石や磁気回路では、接着剤自体が変質している可能性が高いため、再着磁によって破損する恐れがあります。
上記の恐れが無い磁石は、基本的に再着磁が可能ですが、着磁に必要な外部磁界は磁石形状や材質によって異なりますので、詳細については弊社営業までお問い合わせください。
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(Q)形状に制限はありますか?(複雑な形状への対応は可能か?)
(A)一辺が100mm程度の大きい磁石でも、一体品での製作が可能です。また、一辺だけが長い磁石であれば、100mmを若干超える磁石でも製造可能な場合があります。一体品対応が困難な場合には、分割貼り合せ品での対応を提案させていただくことになります。
逆に小さい磁石では、大きな素材ブロックからの切出し加工を行いますので、1mm角程度の磁石であれば製作は可能です。ただし、Nd系磁石の表面層は磁石としての機能を失っており、小さい磁石ではその表面層の磁石特性に及ぼす影響が大きいことから、使用に際しては十分なご検討をお願いいたします。
複雑形状品につきましては、一般的には砥石を使った削り出し加工となります。磁石形状に凹み部あるいは鋭角な突起部がある形状では、砥石の製作が困難になる場合がございますので、詳細につきましては弊社営業までお問い合わせください。
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(Q)希土類磁石はEU-RoHS指令に適合していますか。
(A)EU-RoHSであれば重金属4物質にプラス臭素系難燃剤2種の合計6種ですが、マグネットで言えばNiメッキは規制物質の対象になることがあります。当社は環境問題対策を最重要課題として捉えていますので、適合品の供給には全く問題ありません。
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(Q)Nd磁石の表面処理を選択する上で、形状・大きさに制限がありますか?
(A)弊社の表面処理は数種類ありますが、それぞれ形状、大きさによって適用できないケースがあります。また、形状、大きさによっては適用が可能であってもコストが非常に高くなってしまうケースもあります。磁石の形状、大きさ、磁石に求められる耐食性、コスト等を総合的に捉えて表面処理を選択することが必要です。詳細につきましては弊社営業までお問い合わせください。
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(Q)表面処理の膜厚はどの程度ですか?
(A)Niメッキ、無機系塗装、エポキシ塗装の標準膜厚は10~30μm程度です。また、RXコート、アクアコートの標準膜厚は1μm程度となっています。ただし、表面処理の種類によっては、お客様の耐食性仕様に合わせて、膜厚を厚めまたは薄めに設定することが可能なケースがあります。
また、表面処理の種類や磁石形状によっては厚みの均一性が悪いケースがあり注意が必要です。詳細は本社営業にお問い合わせください。
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(Q)ラジアルリングの大きさに制限はありますか?
(A)弊社のラジアル磁石製法においては、通常ラジアルリング磁石が作成しにくい長尺小口径形状も、比較的容易に作製可能です。詳しくは、『特性マップの形状について』をクリックいただくとラジアルリング磁石の作製可能形状が記載されています。
ただし、極端な小口径品や肉厚が極度に厚い形状では、特性が出にくくなりますので注意が必要です。詳細は弊社営業にお問い合わせください。
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(Q)多極着磁を行う場合の最小極幅、ニュートラル幅はどの程度でしょうか?
(A)多極着磁は、その着磁パターンに対応した着磁コイルに巻線を施した着磁ヨークを用いてパルス着磁されるのが一般的です。したがって、多極着磁の際の最小極幅は、いかに着磁ヨークを細く出来るかにかかってきます。ただし、所定の着磁磁場を発生させるためには巻線の直径や巻数も考慮する必要があるため、着磁ヨークを細くするにも限度があります。特に磁石の磁化方向厚みが2~3mm以上と厚くなると、フル着磁に必要な磁場が発生させるのが困難になってくるため、より制約が大きくなります。
また、マグネットビューワでの観察結果を基に、ニュートラル幅を仕様として盛り込むことも一般的に行われています。しかし、検査方法として定着しているとはいえ、実際の不完全着磁領域とマグネットビューワで観察される領域との関連性については十分な検証が行われているとは言えません。
そこで、弊社ではマグネットビューワを用いずに、より精度の高いガウスメータでニュートラル幅を計測しています。標準的なニュートラル幅として、磁化方向厚みが3mm以下の時に、ニュートラルゾーン幅:0.8mmを提案しています。
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(Q)磁石の廃棄上の注意点は?
(A)磁石を廃棄するにはまず、磁石の熱消磁をしなければなりません。着磁された磁石をそのまま廃棄すると、磁石の吸引力でケガ等の事故が発生する恐れがあるためです。Nd系磁石は300℃以上に加熱して熱消磁する必要があります。Nd系磁石は、組成比がNd2Fe14Bと、鉄を70%近く含有しているため、一般的には消磁後に鉄屑と混合して廃棄されています。
しかし、近年の急速な磁石需要に伴い、今後はリサイクルを前提とした処分が必要になってきます。現時点では、磁石製造工程で生じた廃棄物のリサイクル技術は確立していますが、一般製品のリサイクルは開発途上にあり、まだ処理形態は確立していません、貴重な資源保護のためにも各業界が一丸となって取り組むべき課題となるでしょう。
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(Q)希土類磁石の主な用途は何ですか?
(A)希土類磁石最大の用途は、コンピュータのハードデイスク内で利用されているVCM(ボイスコイルモータ)です。全希土類磁石生産量の約半分がこの用途で使用されています。その他には、各種産業用モータやセンサーとして、家庭電化機器やオフィス機器、音響機器、携帯電話などに使われています。最近では、電気自動車のモータや風力発電機ジェネレータ、エアコンのコンプレッサなど環境対策や省エネルギー機器にも多く応用され、今後の発展がますます期待されています。なお、詳細については本ホームページの応用製品の項を参照してください。
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(Q)希土類磁石を注文したいのですが、標準的なサイズ・価格があれば教えて下さい。
(A)信越化学の希土類磁石は、完全受注生産体制を取っているので、基本的には標準サイズ、標準価格といったものはありません。お客様の仕様に合わせて個別に設計、製造されるため、各磁石は材質、寸法などが異なります。しかしごくまれに同じ形の磁石も製造されることが有りますので、弊社営業担当までお気軽にお問い合わせください。
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(Q)最も強力な磁石が欲しいのですが?
(A)信越化学の希土類磁石製品には、世界最高性能を誇る高特性シリーズもラインナップされております。弊社営業担当までお気軽にお問い合わせください。ただし、ご使用になる形状、温度条件等で、選択すべき保磁力(HcJ)と残留磁束密度(Br)が異なりますので、設計仕様を確認させていただいた上で製品を選定し、最終的にはサンプルにてご確認いただくことになります。
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(Q)ネオジウム系磁石は一般的に熱には弱いという特性をもっているそうですが、150℃~200℃程度でも使用できる材質はありますか?
(A)信越化学では、高温特性の優れた高保磁力型ネオジウム磁石を開発し、量産しております。しかし、使用可能上限温度は、実際の磁気回路構造によっても異なりますので、コンピュータ解析などで確認して、最適な材質を提案させていただきます。
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(Q)自社で設計したモータに希土類磁石を使用したいのですが、使用する磁石の最適な形状・グレードについてのアドバイスをもらえるでしょうか?
(A)信越化学では、長い間培ってきた経験とノウハウで、磁気回路開発の支援を行います。お客様の仕様に合わせて、コンピュータによるシミュレーション解析を実施し、材質や寸法の決定、最適磁気回路の設計まで行うことが出来ます。本ホームページ中にも、磁気回路解析の実例を載せておりますので、ご参照ください。
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(Q)希土類磁石を他の部品に貼り付けて使用したいのですが、接着剤のスペックとして最適なものを教えてください。
(A)希土類磁石用の接着剤として、各種のアクリル系、エポキシ系接着剤の使用実績が有ります。実際の使用条件などを考慮して最適な選定をいたしますので、お気軽にご相談ください。
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(Q)希土類磁石を他の部品に貼りあわせた状態で出荷してもらうことは出来ますか?
(A)信越化学では、VCM回路やモータのロータなどの小型磁気部品、さらには磁選機やスパッタ、アンジュレータ等の大型磁気回路部品の組立まで、数多くの生産実績があります。磁気回路設計から始まって着磁まで、部品生産に関するあらゆるご要求に対して、培われた多くの経験と技術ノウハウでお答えすることが出来ます。
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(Q)希土類磁石を海外工場にて直接購入することは可能ですか?
(A)信越化学では全世界をカバーする販売網を既に確立しており、希土類磁石の納入からサポート、テクニカルサービスまであらゆる地域での対応が可能となっております。弊社営業担当までお問い合わせくさい。
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(Q)希土類磁石を航空便にて輸出したいのですが、着磁したマグネットを空輸することは可能でしょうか?
(A)可能です。ご注文時に航空便による輸出とのご指示をいただければ、航空規定に則った梱包にて磁気漏れ対策を充分に行い、安全遵守の荷姿で出荷することが出来ます。弊社担当までお問い合わせください。
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(Q)希土類磁石取り扱い上の注意を教えてください。
(A)本ホームページ及び信越レア・アースマグネットのカタログ中に、取り扱い注意事項が詳細に記載されております。そちらをご参照ください。
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