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英字
- EPS(Electric Power Steering)
- Electric Power Steeringの略で、電動パワーステアリングのこと。電力でステアリング動作をアシストする機構。これまでのパワーステアリングは油圧駆動のため、ステアリング動作をしない時でもエンジンのパワーをロスしていたが、電動化することにより、駆動しないときはエネルギーをカットできるので燃費を向上させることができる。モータの配置場所により、コラム式、ラック式、ピニオン式そして油圧系統を残し油圧ポンプをモータ駆動する電動油圧式(H-EPS)がある。小型車にはフェライト磁石を用いたEPSが多いが、中大型車には希土類磁石を用いるブラシレスモータの利用が拡大してきている。
- EV(Electric Vehicle)
- Electric Vehicleの略で電気自動車のこと。ガソリンエンジン等の内燃機関ではなく、電力でモータを回して自動車の動力を得る。電力の供給源として、蓄電池を搭載するもの(PEV)、太陽電池から電力を発生させながら走るもの、燃料電池で発電して駆動用電力を得るもの(FCV)、さらにはエンジンによって発電し、蓄電すると同時にエンジンとモータを併用して走るHEV(Hybrid Electric Vehicle)等がある。HEV以外の純粋な電気自動車はまだ一般的ではないが、エネルギー問題や環境保全の観点から今後の大きな発展が期待される。これら電気自動車における駆動用モータ、発電用モータには、HEVを含め希土類磁石が主に用いられている。
- HEV(Hybrid Electric Vehicle)
- Hybrid-Electric Vehicleの略でハイブリッド電気自動車のこと。モータと内燃機関(エンジン)の片方あるいは両方を状況によって使い分けて駆動される。 モータとエンジンの組み合わせにより、発進時あるいは加速時にモータがエンジンをアシストし、減速時には発電して電力回生するパラレル式、エンジンは発電専用で、常にモータで駆動し減速時は電力回生するシリース式、運転状態に応じてモータとエンジン使い分け最適制御するシリースパラレル式がある。 シリースパラレル式は、発進時は主にモータから駆動力を得、高速走行時はエンジンとモータとで走行する。エンジンは燃料効率の最も良い状態で常に運転され、必要に応じて発電して電気を蓄える。減速時の制動エネルギーは回生して蓄電され次の発進時のエネルギー源となる。HEVの駆動モータおよび発電機には、高性能の希土類磁石が用いられ、100%モータ駆動の電気自動車(EV)に先駆けて世界中の市場に広まっている。この形式の自動車は今後も大きく発展する可能性が高く、ディーゼルハイブリッドやプラグインハイブリッドなどの新しいタイプも検討されている。
- IPMモータ(Interior Permanent Magnet Motor)
- ロータの内部に磁石を埋め込んだ構造をもつ回転界磁形式の同期モータ。ロータの磁化によるリラクタンストルクと磁石の磁化によるトルクの両方を利用することができる。珪素鋼板等で作られたロータの内部に磁石が埋め込まれているので、モータの回転中にも遠心力で磁石が飛び出すことがなく、機械的な安全性が高い。電流位相を制御して高トルク運転や広範囲な速度での運転が可能であり、省エネルギー、高効率、高トルクモータとなる。電気自動車、ハイブリッド自動車、高性能エアコン、産業用大型モータ、電車用モータ等で近年その利用が急速に拡大している。
- MRI(Magnetic Resonance Imaging)
- Magnetic Resonance Imagingの略で、体内に存在する水素原子の核磁気共鳴NMR( Nuclear Magnetic Resonance )を利用して、人体の断面影像を撮影する医療用診断装置。水素原子は、体内に置かれている化学的、物理的状態に依存して、核磁気共鳴現象による電波信号発生の形態が異なる。この信号を2次元フーリエ変換してk空間を構築し、さらにこの情報を画像化することによって、人体組織や病巣に関する情報が得られる。精細で緻密な医療情報が取り出せるため、現代医療では欠かせない診断技術の一つとなっている。MRI装置には地磁気の10分の1以下の高均一性を有する、 0.1T以上の強力な空間磁場が必要であり、この均一磁場を発生させるために超伝導マグネットや希土類磁石からなる大型磁気回路が使用される。
核磁気共鳴NMRには Nuclear または核という言葉が含まれるが、核分裂や放射線とは何の関係もない。X線の医療診断とは違って、NMR診断による強力な外部磁場の人体への影響はほとんど無いと考えられており、MRIは安全で有益な医療診断装置となっている。 - SPMモータ(Surface Permanent Magnet Motor)
- ロータの表面に磁石を張り合わせた形状をもつ、回転界磁形式の同期モータ。磁石のもつ強い磁気を効率的に利用でき、モータートルクのリニアリティーが良く、制御性に優れている。磁石形状を最適化すれば、コギングトルクの小さなモータとなる。一方、接着構造の脆弱性などの問題点がある。近年、省エネルギー、クリーンエネルギー等の利点からその応用は拡大している。一部の電気自動車や電動パワーステアリング、その他各種産業用モータに使われている。
- VCM(Voice Coil Motor)
- もともとはスピーカのコイルを駆動する形式のリニアアクチュエータを意味していたが、ハードディスク(HDD)のヘッド駆動用モータも最近はこのように呼ばれている。HDD用VCMは通常二枚の磁石板の間にコイルを配置した構造となっていて、コイルに流れる電流と磁場とで発生する力で、サスペンションアームを駆動する。サスペンションアームには検出ヘッドが搭載されている(磁石応用例のページ参照)。あらゆるハードディスク用VCMにはNd希土類磁石が二枚ないしは一枚使用されている。昨今のハードディスクドライブの小型化によってVCM自体も小型化が進んでおり、希土類磁石もより小型で強力なものが求められている。
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あ行
- 圧縮強度(Compressive Strength)
- 圧縮荷重によって試料が破断する時の最大応力のこと。円柱状や角柱状試料に対して一軸荷重をかけたときの圧縮力を、その軸に垂直な断面積で割った値で表す。圧縮強度は引張り強度に比べて値としては一般に大きくなる。単位はパスカル〔Pa〕。希土類磁石は脆性が顕著であるため、引っ張り強度は測定できない。そのため、この圧縮強度をもって機械的強度の代用とする。
- ウェーバ(Weber、[Wb])
- 磁束の総量を表すSI単位。ドイツの物理学者ウェーバによって導かれた。1 [Wb]とは、一回巻きのコイル内で磁束が 1 [s] の間で均一に変動したときに、電磁誘導により1 [V] の起電力が誘起される磁束量を言う。1 [Wb] = 1 [V・s] の関係となる。磁束のCGS単位であるマクスウェル〔Mx〕に対して 1 [Wb] = 108 [Mx] の関係となる。なお、磁荷の単位もウェーバである。
- 渦電流(Eddy Current)
- 導体(例えばアルミニウムや銅などの金属等)内で、磁束が変化することによって導体内に発生する渦状の誘導電流。フランスの物理学者フーコーによって発見された。誘導電流が発生する時、それは磁束変化を妨げるような磁場を発生させる渦電流となるので、結局運動エネルギーは熱に変換されることになり、いろいろな電磁運動変換機器における損失となる。この発生する熱量をジュール熱という。渦電流によるジュール熱発生はモータ等の電磁運動変換機器では効率低下の原因となるが、他方電磁調理器等では熱源として利用されている。
- 永久磁石直流モータ(Permanent Magnet Direct Current Motor)
- ステータに永久磁石を配置し、ロータには軟磁性磁心にコイルを巻いた電磁石を使用する同期型磁石モータ。回転力は、ブラシで磁極を切り替えながら流した電流によってロータに作られる電磁誘導と、ステータの永久磁石との間で得られる。磁石を使用する形式のモータとしては、最もポピュラーで数多く利用されている。構造が簡単な上に堅牢安価であり使い易い。ステータ磁石には、一般的にフェライト磁石が使用されているが、最近の高性能タイプのモータには希土類磁石も使用されるようになってきた。
- 永久磁石同期モータ(Permanent Magnet Synchronous Motor)
- 永久磁石を珪素鋼板や鉄等と組み合わせてロータにし、一方ステータは珪素鋼板や鉄に電機子巻線を行なった構造とする回転磁界型モータ。モータの回転数はステータに流す界磁電流の周波数によって変化するので、モータ自体の動作は直流インバータ電源でコントロールすることができる。回転数や応答速度などを電気的に制御するのが容易なことから、高性能アクチュエータとして各種産業用モータ等に広範囲に使用されている。ロータへの磁石の配置の仕方によって、ロータ表面に永久磁石をはり付けるモータ(SPMモータ)とロータ内部に永久磁石を埋め込むモータ(IPMモータ)との2種類に大別される。
- エルステッド(Oersted、[Oe])
- 磁場の強さのCGS電磁単位。デンマークの物理・化学者エールステズによって導入された。単位磁極にはたらく力が1[dyn]のときの磁場の強さが1[Oe]である。磁場の強さのSI単位[A/m]に対して、1[Oe]=(1/4π)×103[A/m]の関係がある。
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か行
- ガウス(Gauss、[G])
- 磁束密度を表すCGS電磁単位。ドイツの物理学者ガウスにちなむ。面積1[cm2]の面に1[Mx]の磁束が通っているときの磁束密度を1[G]とする。磁束密度のSI単位であるテスラ〔T〕に対して、1[G]=10-4[T]の関係がある。
- 希土類元素(Rare Earth Element)
- 原子番号57のLaから71のLuまでの15元素に、21番Scと39番Yを加えた17元素の総称。希土類元素は、最外殻の電子構造とイオン半径がほぼ似かよっているため、化学的性質に類似性を持っている。発見当初は比較的希な鉱物から発見されたため希土類元素(rare earth)と呼ばれたが、地殻全体からみた実際の存在量はそれほど希少ではない。CeはCuよりも多く、Y、La、NdはCoよりも多量に存在する。炭酸塩鉱物のバストネサイト、リン酸塩鉱物のゼノタイム、モナザイト、イオン吸着鉱などの鉱石に含有されているが、現在これらの鉱物は大部分が中国から産出されている。蛍光体や触媒、磁性材料、ファインセラミックス、半導体材料等に広く使用され、現代文明を支える貴重な機能性元素といえる。
- 希土類磁石(Rare Earth Magnet)
- 鉄族遷移元素と希土類元素の金属間化合物を主構成成分とする永久磁石の総称。製造方法によって、焼結磁石とボンド磁石に大別される。代表的な磁石合金として、Sm-Co系とNd-Fe-B系の二種類がある。他の永久磁石であるフェライトやアルニコと比べて残留磁束密度Brや保磁力HcJ、最大エネルギー積(BH)max等が格段に優れている。各種産業用モータから、コンピュータ、家電製品、携帯電話、自動車など現代社会を代表する多くの工業製品に応用されている。それら機器、装置の小型化、高性能化にとって必要不可欠な機能性材料となっている。
- キュリー温度(Curie Temperature)
- 強磁性体またはフェリ磁性体が、温度の上昇によって常磁性状態へ転移する温度。磁性体中に整列した磁気モーメントは、熱振動によって絶えず振動されている。温度の上昇とともにこの熱揺動は強くなり、これに比例して磁気モーメントの整列は乱れて行くことになる。ついにはその秩序性を完全に失わせることになり,この温度が、キュリー温度である。常温で強磁性を示すためには、このキュリー温度が室温より十分に高いことが必要となる。遷移元素のFe、Co、Ni およびこれらの元素と希土類元素との合金において、室温より高いキュリー温度が実現されている。
- 経時変化(Aging Demagnetization)
- 永久磁石の磁束が、時間の経過に伴って減少する現象。永久磁石といえども永久に磁石であり続けることはなく、熱振動の影響を長時間受けることにより、徐々に減磁していく。磁石の種類や材質、磁気特性によって劣化の度合いは異なる。同じ種類の磁石、同じ特性の磁石でも、磁石の形状や磁気回路の構成(パーミアンス係数)、や温度によっても劣化量は異なる。一般的には、使用温度が低くてパーミアンス係数が大きいほど、またキュリー温度が高くて保磁力が大きい材料ほど、経時変化は小さい。信越希土類磁石の経時変化量については、ダウンロードのページからデータを入手することができる。
- 結晶磁気異方性(Magneto Crystalline Anisotropy)
- 物質の磁気的性質、特にその物質の磁化の安定性が結晶方位によって異なることを言う。電子構造が物質の構成元素の種類だけでなく結晶方位にもよることに起因する。第一義的には、自発磁化の向き易さが結晶方位に依存することを意味するが、保磁力、着磁特性等が結晶の方向によって異なることを意味する場合もある。Fe単結晶では、[100]方向は[110]、[111]方向より磁化されやすく、Niでは[111]方向が[110]、[100]方向より磁化されやすい。磁化され易い結晶方位を磁化容易軸(方向)と呼び、反対に磁化困難な方位は磁化困難軸(方向)と言う。
- 高温減磁(Demagnetization at High Temperature)
- 室温で着磁した磁石を高温にさらした時、熱振動による磁気モーメントのゆらぎまたは反転によって、磁束が減少する現象を高温減磁という。高温にした初期に現れる減磁を初期減磁、一定時間の経過とともに減磁するものを経時変化という。高温にさらした磁石を再び常温に戻したときに、減磁前の磁束量に回復するものを可逆減磁と呼ぶ。一方、再び常温に戻しても磁束が回復しない減磁を不可逆減磁という。これら減磁の仕組みについては、本ホームページ中の「磁石の基礎」を御参照下さい。
- 交換スプリング磁石(Exchange Spring Magnet)
- サブミクロンの微細な硬質磁性相と軟質磁性相から構成され、これらの両相の間に磁気的な交換結合作用が働いて、あたかも均一で一様な磁石のように振る舞う新しいタイプの磁石。硬質磁性相と軟質磁性相を磁性のスプリングでつないでいるような磁化挙動をすることから、交換スプリング磁石と呼ばれる。磁化曲線の第二象限で、通常の磁石にはない強い磁化復元力がある。比較的高い残留磁化を持つが、履歴曲線の角型が悪く、保磁力は小さい。もし異方性を持った高保磁力交換スプリング磁石が開発できれば、世界最高の磁石となるといわれているが、いまだ実現されてはいない。上述した磁石組織がナノスケールの複合組織であることから、ナノコンポジット磁石とも呼ばれる。
- 硬質磁性材料(Hard Magnetic Material)
- 保磁力が大きく、外部磁場に対して容易に減磁しないような磁性材料のことをいう。一般的には磁石または永久磁石を意味するが、磁気記録材料も硬質磁性材料の一種と言える。フェライト磁石、NdFeB系磁石、SmCo系磁石等の希土類磁石、白金鉄、白金コバルト、FeCoCr合金等が代表的な硬質磁性材料である。
- 剛性率(Shear Modulus)
- 弾性率の一種で、ずれ弾性率、せん断弾性率とも呼ばれる。弾性体の正四角柱を考え、底面とそれに平行な面にせん断応力τが働くと、正四角柱の側面が頂角 90°±γのひし形に変形する。このとき、フックの法則が成り立つ範囲でτ=Gγという比例関係があり、その係数Gを剛性率とよぶ。単位はパスカル〔Pa〕。磁石の機械的強度を示す場合にこの値を用いることがある。
- 抗折力(Bending Strength)
- 曲げに対する強度を示す物性値の一種で、曲げ強さともいう。材料にせん断力が作用せず曲げモーメントのみ働く場合、曲げ作用を受けても伸びも縮みもしない面(中立面)を境に曲げ円弧の軸側には圧縮力、外側には引っ張り力が働くが、この曲げ荷重によって試料が破断する時の最大応力を示す。JISには曲げ応力の試験法が規定されており、荷重方法により、3点曲げ試験、4点曲げ試験の2種類がある。単位は〔Pa〕。磁石の機械的強度を示す場合にこの値を用いることがある。
- コギング(Cogging)
- モータにおいて電機子と回転子との磁気的吸引力が回転角度に依存して細かく脈動する現象。回転トルクの変動とは区別される。電機子の位置や形状と回転子の磁束分布が相互に影響することによって生じる。コギングトルクが小さいとモータは滑らかに回転し、精度の高い制御が行える。永久磁石同期モータでは、両端の厚みが薄い瓦状磁石を用いたり、スキュー着磁をしたり、更には界磁をスキューするなどして、コギングを低減する工夫がなされている。
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さ行
- 最大エネルギー積(Maximum Energy Product)
- 永久磁石の性能を表す指標の一つ。単位はSI単位系でジュール毎立方メートル[J/m3]、CGS単位系ではガウス・エルステッド[GOe]で、(BH)maxの記号で表す。B-H減磁曲線上の点(H,B)におけるH(正とする)とBの積をエネルギー積と呼ぶが、その積の最大値が最大エネルギー積である。単位体積あたりの磁石から取り出せる最大磁束量の目安を示す値となる。磁気回路において動作点がこの最大エネルギー積の点にくるように設計したとき、磁石の体積を最も小さくできる。
- 残留磁束密度(Remanence)
- 材料の磁気特性を表す磁気ヒステリシス曲線において、外部磁場を飽和磁化の状態となる高い値から0に戻した時に残る磁束密度の値をいう。残留磁化(Residual Magnetization)とも言う。この値が高いほど、利用可能な磁束密度が高い。単位はSI単位系でテスラ[T]、CGS単位系ではガウス[G] で、Brの記号で表わされる。等方性材料の場合は、残留磁束密度は飽和磁化の50%から75%程度になるが、希土類焼結磁石材料においては磁化容易軸方向が磁化方向に配向されているので、残留磁化は飽和磁化の95%以上となる。
- 残留磁束密度の温度係数(Thermal Coefficient of Br)
- 残留磁束密度の温度変化を、温度を変数として直線で近似した時の係数。単位はパーセント毎ケルビン〔%/K〕。一般に負の値をもち、絶対値が小さいほど残留磁束密度の温度変化は小さい。SmCo系磁石で -0.03~-0.04[%/K]程度、NdFeB系磁石では -0.09~-0.11[%/K]程であり、フェライト磁石の-0.19 [%/K]と比べると温度変化は小さい。
- ジェットミル(Jet Mill)
- 気流式粉砕機のこと。ボールなどの粉砕メディアを用いずに、流体の持つ運動エネルギーを利用して粉砕が行われる。ノズルから高圧で噴出するガスの中に原料を巻き込ませ、この高圧ガスに乗った粒子がガスの運動によって衝突粉砕されるか、あるいは高圧ガスに乗った粒子が衝突板と衝突するなどして粉砕される。希土類磁石合金は一般に活性で酸素と激しく反応するので、酸素を取り除いた高圧窒素ガスによるジェットミルで粉砕される。
- 磁荷(Magnetic Charge)
- 磁気双極子の両端にある磁気量。電気における電荷に相当する。ただし電荷と異なり単独では存在せず、常に磁気双極子の状態で存在する。単位はSI単位ではウェーバ[Wb]、CGS単位では電磁単位[emu]。SI単位で1[Wb]の磁荷は1[Wb]の磁束を発生する。CGS単位では、1[emu]の二つの磁荷は、1[cm]の距離で1[dyn]の力を生じる。1[Wb]=108/4π[emu]。
- 磁化(Magnetization)
- 単位体積あたり磁気モーメントのこと。単位はSI単位ではウェーバ毎平方メートル[Wb/m2]あるいはテスラ[T = Wb/m2]、CGS単位では電磁単位毎平方センチメートル〔emu/cm2〕で、Iの記号で表す。1[Wb/m2]=104/4π[emu/cm2]。CGS単位では4πを乗じてガウス[G]の単位を用いることが多く、この場合は4πIの記号で表し、1[T]=104[G]となる。
- 磁化困難軸(Axis of Hard Magnetization)
- 結晶磁気異方性を持つ磁性体において、磁化されにくい結晶方位をいう。結晶磁気異方性の項参照のこと。
- 磁化容易軸(Axis of Easy Magnetization)
- 結晶磁気異方性を持つ磁性体において、磁化され易い結晶方位をいう。結晶磁気異方性の項参照のこと。
- 磁気双極子(Magnetic Dipole)
- 磁荷の双極子のこと。電気の場合と異なり単独の磁極(磁気単極子)を取り出すことはできないため、磁気の最小単位は磁極ではなく磁気双極子となる。
- 磁気抵抗(Magnetic Resistance)
- 磁気回路で電気回路の抵抗に相当する量のこと。リラクタンスともいう。透磁率μ、断面積S、長さLの環状の磁気回路において、環状体を貫く電流をI、環状体内の磁束をΦとすると、I=ΦL/μSの関係が成り立つ。これを電気回路と比較すると、起磁力I[A]が起電力に、磁路を通る磁束Φ[Wb]が電流に相当し、電気抵抗に相当するRm=L/μSを磁気抵抗と呼ぶ。
- 磁気モーメント(Magnetic Moment)
- 磁気双極子の強さ。単位はSI単位系ではウェーバ・メートル[Wb・m]、CGS単位系では電磁単位・センチメートル[emu・cm]。単位体積あたりの磁気モーメントを磁化という。
- 磁気ヒステリシス曲線(Hysteresis Loop)
- 外部磁場に対する磁性体の磁化過程を示す曲線のこと。通常は十分に着磁した磁性体のヒステリシス曲線を指す。外部磁場Hに対して磁気分極Jの変化をプロットしたものをJ-H曲線といい、磁束密度Bの変化をプロットしたものをB-H曲線という。
- 磁区(Magnetic Domain)
- 磁気双極子の集まりで、磁気モーメントが一方向にそろっている小さな領域。強磁性体やフェリ磁性体の内部に存在する。これらの磁性体において、もし自発磁化がすべて同じ方向に揃ってしまうと、非常に高い静磁エネルギーをもった不安定状態となる。それを避けるために適当な大きさと方向を持った磁区に細分化する。これを磁区構造という。この時形成された磁区は、互いの磁気モーメントを打ち消すか、磁気モーメント同士がつながるような構造となる。結果的に、磁性体全体の自発磁化が低下し、磁気ポテンシャルのより安定な状態となる。
- 磁束(Magnetic Flux)
- 磁力線の総量で、磁気回路で電気回路の電流に相当する量のこと。磁束密度を面積分だけ積分することにより得られる。記号はΦで表す。単位はSI単位系でウェーバ[Wb]、CGS単位系ではマクスウェル[Mx]。1[Wb]=108[Mx]。
- 磁束密度(Magnetic Flux Density)
- 単位面積あたりの磁束量。単位はSI単位系で〔T〕、CGS単位系では〔G〕。記号はBで表す。磁性体内部での磁束密度は、外部磁場Hと磁性体の磁気分極Jの和となり、SI単位系でB=μ0H+Jと表される。1[T]=104[G]。
- 磁場(Magnetic Field)
- 磁荷に作用する力の場のこと。磁界ともいう。単位はSI単位系ではアンペア毎メートル[A/m]、CGS単位系ではエルステッド[Oe]。記号Hで表す。1[A/m]=4π・10-3[Oe]。地球上では地磁気と呼ばれる磁場が存在する。
- 自発磁化(Spontaneous Magnetization)
- 原子磁気モーメントの整列した磁性体が外部磁場を受けない状態で発生する磁化のこと。磁性体は通常磁区構造を形成するため自発磁化が無いように観測されるが、単結晶などを単磁区状態によって測定される。強磁性体では絶対零度において最大となり、温度が上がると各原子の磁気モーメントが熱揺らぎのために減少し、キュリー温度で消失する。
- 磁壁(Magnetic Domain Wall)
- 磁性体の磁区構造において、磁区と磁区の間にある原子の磁気モーメントが少しずつ連続的に反転する空間のことをいう。隣り合う磁区の磁化の方向が90°、180°の場合、それぞれ90°磁壁、180°磁壁と呼ぶ。また境界面に垂直な方向を軸として、磁気モーメントが回転していくような磁壁をブロッホ磁壁、薄膜においてみられる境界面の面内方向(薄膜厚み方向)を軸として磁気モーメントが回転していくような磁壁をネール磁壁と呼ぶ。
- 焼結磁石(Sintered Magnet)
- いわゆる粉末冶金法によって作られる磁石。現状で焼結磁石というと、希土類の焼結磁石を意味する場合が多い。磁石合金を微粉砕してから、磁場中で磁化容易軸を揃えてプレス成形し、さらに高温で焼き固めることにより製造される。焼結収縮が大きいので寸法精度が悪く、一般に焼結後の加工が必要となる。プラスチックを混合して作られるボンド磁石と比較すると、プラスチックなどの非磁性部分を含まないので磁気特性が高く、耐熱性にも優れる。
- 消磁(Neutralization)
- 磁性体の磁化を0にすること。外部磁場を交互に反転させることによりマイナーループを経由させる交流消磁と、外部磁場のない状態で強磁性体の温度をキュリー点以上に一度上げてから冷やして磁化を消す熱消磁がある。ただし、交流消磁では完全に磁化をゼロにすることはできず、特にNd焼結磁石では交流消磁後に再度着磁を施す場合には大きな磁場が必要となるなど注意が必要である。また、熱消磁ではキュリー温度以上の加熱により磁気特性や表面処理に影響を及ぼすことから、実際には消磁は非常に困難な場合が多い。
- 常磁性(Paramagnetism)
- 物質中の磁気モーメントが、外部磁場のない状態ではそれぞれでたらめな方向を向いて全体として磁化が発生しないが、外部磁場をかけるとその磁場の大きさに応じて磁気モーメントをそれなりに配向して磁化を発生させるような磁気的性質。このような物質を常磁性体という。
- 初期減磁(Initial Demagnetization)
- 磁石を高温にしたときに起こる磁束量低下の一定義。再着磁すれば磁化が回復する不可逆減磁分と回復しない永久減磁分がある。一般に、磁石の種類、キュリー温度の違いによって、また同じ種類の磁石でも、その磁気特性(主に保磁力)や磁石の形状・磁気回路の構成(パーミアンス係数)、加熱温度によって減磁量は異なる。キュリー温度が高くて保磁力が大きくパーミアンス係数の大きい磁石、さらには耐食性のよい磁石ほど初期減磁量は小さい。磁石の高温減磁は初期減磁と経時変化さらに永久減磁との組み合わせで発生する。
- 磁歪(じわい)(Magnetostriction)
- 強磁性体を磁化するときに生じるわずかな変形(歪み)のこと。磁気ひずみとも言う。大きさは自発磁化の大きさや結晶軸の方向等に依存するが、δL/Lは僅か10-5~10-6程度である。内部応力が磁歪を通じて磁区構造や磁化機構に影響を与え、磁気異方性を生じることもある。モータにおける騒音発生の一原因でもある。
- ステッピングモータ(Stepping Motor)
- パルス電力によって一定のステップ角単位で回転するモータ。入力パルス数により回転角が、入力周波数により回転速度が変化し、フィードバックなしでモータの動作を制御できる。FA、OA関連で、位置決め制御の駆動源として広く使われている。
- 静磁エネルギー(Magnetostatic Energy)
- 磁場中に磁性体が存在するときに生じる磁気的ポテンシャルエネルギー。強磁性体の場合、磁化とその反対方向に生じる内部磁場(反磁場とよばれる)により、外部磁場がなくても磁性体の内部では静磁エネルギーが発生している。その量は、磁極を磁性体の両端に内部磁場に逆らって存在させるに要した仕事量である。強磁性体はこの静磁エネルギーを最少にするために磁区構造をとる。
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た行
- ダイポールリング(Dipole Ring Magnet)
- 空間内に特定の一方向に強力な均一磁場を発生させる磁気回路。非常に効率の良い磁気回路で、使用磁石重量と発生磁界の比で見ると現在、最も小型化が可能な磁気回路である。磁気回路としては円筒形状になっていて、円筒状断面の周囲に磁石が置かれ、その磁気配向方向が連続的になるようセグメント磁石を張り合わせて作られる。
- 着磁(To Magnetize)
- 磁化を持たない磁石素材に、磁化が飽和するまで充分な外部磁場を印加する作業のこと。外部磁場を取り去っても、磁石素材には磁化が残ったままの状態となり、ここで初めて磁石素材が永久磁石となる。飽和に近い着磁状態を得るために要する外部磁場の強さは、磁石の種類、保磁力(HcJ)、形状によって異なり、その様子を磁石の着磁特性と言う。着磁法には静磁場によって行う方法とパルス磁場によって行う方法がある。
- 直角磁場成形(Perpendicular Magnetic Field Press)
- 一軸異方性をもつ永久磁石の製造工程において、磁性粉末を磁場中にて配向、成形する際に、配向のために印加する磁場の方向と成形する圧力方向が垂直である成形方法。横磁場成形とも呼ばれる。一方、磁場の方向と成形方向が平行である成形方法を、平行磁場成形(縦磁場成形)と呼ぶ。成形の際に磁性粒子の配向状態を乱さないため、平行磁場成形と比較して製品の磁気特性は高くなる。ただ、製品の形状と磁化方向の関係で、直角磁場成形を行えない場合もある。
- テスラ(Tesla、[T])
- 磁束密度のSI単位。クロアチア生まれのアメリカの電気工学者テスラにちなむ。面積1[m2]の面に1[Wb]の磁束が通っているときの磁束密度が1[T]。磁束密度のCGS単位ガウス〔G〕に対して、1[T]=104[G]の関係がある。
- 動作点(Working Point)
- 磁石のB-H減磁曲線上の点で、磁気回路内における磁石のB、Hの状態を示す点のこと。動作点を知ることで、磁気回路から取り出せる磁束密度Bや、磁石自身の減磁の有無を予想できる。また原点からこの点に向かって引いた直線をパーミアンス線、この直線の傾きをB/H=μ0pと表したときのpをパーミアンス係数と呼ぶ。
- 透磁率(Magnetic Permeability)
- 磁束密度Bを磁場Hで除した値。単位はSI単位系で[H/m]、CGS単位系では無名数。記号μで表す。真空での透磁率をμ0で表し、SI単位系ではμ0=4π×10-7[H/m]、CGS単位系では1。一方,磁化率(susceptibility)は磁気分極Jを磁場Hで除した値であり、χ[H/m]と表記される。(J=χH)したがって、磁束密度BはB=μ0H+J=(μ0+χ)Hとなるので、透磁率は真空の透磁率と磁化率によりμ=(μ0+χ)となる。また、透磁率μと真空の透磁率μ0の比を比透磁率μr(=μ/μ0)と呼ぶ。
- 等方性磁石(Isotropic Magnet)
- 結磁石内の結晶粒の磁化容易軸が特定の方向にそろっておらず、磁気特性が等方的な磁石のこと。一方、磁石の結晶粒の方向が整列していて、磁化容易軸の揃った磁石は異方性磁石という。等方性磁石には急冷薄帯合金を原料とするボンド磁石や等方性フェライト磁石があるが、磁気特性は異方性磁石に比べて劣る。希土類焼結磁石では等方性磁石は作られていない。
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な行
- ナノコンポジット磁石(Nanocomposite Magnet)
- 微細な硬質磁性相と軟質磁性相からなり、両相間に交換結合作用が働き、あたかも一つの磁石単相のように振る舞う磁石。その組織の大きさがナノメートル(10-9m)オーダーであるためこのように呼ばれる。その磁気的な性質から、交換スプリング磁石と呼ばれることもある。(交換スプリング磁石の項参照)
- 軟質磁性材料(Soft Magnetic Material)
- 磁化と透磁率が大きく、外部磁場の方向や大きさに対応して磁化を変化させる磁性材料。磁気回路内で、コイルや永久磁石によって発生した磁場を強めたり、発生した磁束の通り道として利用される。変圧器やモータの鉄芯等に使われている。
- ネール温度(Neel Temperature)
- 反強磁性体が常磁性状態へ転移する温度。フランスの物理学者ネールにちなむ。
- 熱伝導率(Thermal Conductivity)
- 物質内で高温部分から低温部分へ熱が伝導する際の、伝導のしやすさを示す値。単位等温面を単位時間に垂直に流れる熱量と、この方向の単位長さあたりの温度差の比で表される。単位は[W/m・K]。
- 熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion)
- 物体の大きさが温度により体積変化する度合い。体積変化に関する体積膨張率と、長さの変化に関する線膨張率がある。単位は毎ケルビン〔1/K〕。結晶磁気異方性の大きな強磁性体では、線膨張率が物質の結晶方位により異なることがある。Nd磁石は磁化方向と非磁化方向とで熱膨張係数が違う。特に非磁化方向は加熱により収縮する。鉄ヨークなどとNd磁石を張り合わせる際には、温度変化に対する熱膨張度合いの異なることに注意が必要である。
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は行
- ハードディスクドライブ(Hard Disc Drive、HDD)
- コンピュータ等に搭載されている磁気記録装置のこと。記録ヘッドで磁場を発生し、記録メディア上の磁性体に磁化を発生させて、デジタル信号を記録する。記録メディアを回転するためのスピンドルモータ、磁気ヘッド駆動用VCM(ボイスコイルモータ)などに希土類磁石が用いられている。
- パーミアンス係数(Permeance Coefficient)
- 磁気回路および磁石の形状から決まる係数。パーミアンス係数をpとすると、磁石の動作点は原点を通る傾きμ0pの直線(パーミアンス線)とB-H減磁曲線の交点となる。磁気回路の設計の際に使われる。磁石単体の場合、磁石の形状が磁化方向に細長くなるとHを正として求めたパーミアンス係数は大きくなる。
- 反強磁性(Antiferromagnetism)
- 物質中の隣り合う磁気モーメントが互いに反対方向を向いて配向し、全体として磁化がゼロであるような磁気的性質をいう。またこのような磁気的性質を示す物質を反強磁性体という。ネール温度に達すると常磁性に転移する。
- 反磁性(Diamagnetism)
- 物質中の磁気モーメントが外部磁場のない状態ではでたらめな方向を向いて全体として磁化のない状態だが、外部磁場をかけると磁場の大きさに応じてその反対方向に磁化する性質のことをいう。このような磁気的性質を示す物質を反磁性体という。不活性ガスやCu、Au、Ag、Znなどの金属、有機化合物などで見られる。
- 反磁場(Demagnetizing Field)
- 永久磁石の内部に磁石の磁化方向と反対方向に生じる磁場。反磁界ともよばれる。反磁場の大きさは磁化の大きさに比例し、その比例定数を反磁場係数という。反磁場係数はパーミアンス係数と同様に磁石の形状のみで決まる係数で、磁場を正としたときのパーミアンス係数が大きくなると、反磁場係数は小さくなる。磁石の形状で言うと、磁石が磁化方向に細長くなり磁極同士が遠ざかるほど、反磁場係数は小さくなる。
- ビッカース硬度(Vickers Hardness)
- 物質の硬さを表す尺度の一つ。試料に対して対面角約136°の正四角錐のダイヤモンド圧子を押し込んだときの荷重とくぼみの表面積の比から定義される硬さ。磁石のような硬質材料を始めとして、金属材料一般に広く適用されている。
- 比電気抵抗(Electrical Resistivity)
- 物質内の電流の流れにくさを示す値。物質内の電流Iは加えた電圧Vと比例関係にあり(オームの法則)、その係数V/Iを電気抵抗という。一方比電気抵抗は、単位断面積、単位長さあたりの電気抵抗をいう。比電気抵抗が大きな物質ほど電流は流れにくく、また同じ電流を流した場合は発生するジュール熱が大きい。モータ等磁束の大きさや方向が変動する磁気回路の場合、磁石に発生する渦電流は磁石の比電気抵抗が大きいものほど小さい。
- フェライト磁石(Ferrite Magnet)
- 酸化第二鉄Fe2O3を主成分とする磁性酸化物からなる磁石。実用磁石においては、Ba(バリウム)やSr(ストロンチウム)を含有しているので、バリウムフェライト磁石あるいはストロンチウムフェライト磁石とも呼ばれる。主成分が鉄の酸化物で、価格が安い、耐食性が高い、比電気抵抗が高い等の特長を持っている。ただし磁気特性は希土類磁石と比較すると低く、最大エネルギー積は希土類磁石の約1/10である。
- フェリ磁性(Ferrimagnetism)
- 物質中に異なる大きさの磁気モーメントが反強磁性体のように互いに反対方向を向いて配向しているため、その磁気モーメントの差だけ磁化を発生する磁気的性質を言う。このような磁気的性質をもつ物質をフェリ磁性体とも呼ぶ。代表的なフェリ磁性体はフェライトである。すべての磁気モーメントが平行にそろうフェロ磁性と比較すると一般に磁化は小さい。フェロ磁性同様にキュリー温度まで昇温すると常磁性に転移する。
- フェロ磁性(Ferromagnetism)
- 物質中の磁気モーメントが交換相互作用によって平行に配向している磁気的性質。このような磁気的性質を示す物質をフェロ磁性体という。磁気モーメントが平行配向する結果として自発磁化を持つが、磁区構造をとるため通常初期状態では磁化はゼロである。狭義では強磁性というとフェロ磁性を指すこともある。キュリー温度に達すると熱振動によってモーメントを揃えていられなくなり、常磁性に転移する。
- 平行磁場成形(Parallel Magnetic Field Press)
- 焼結磁石の製造工程で磁性粉末を成形する際に、配向のため印加する磁場方向が成形プレスする圧力の方向と同じとなる成形方法。縦磁場成形とも呼ばれる。一方、磁場の方向と成形方向が直角の成形方法を、直角磁場成形(横磁場成形)と呼ぶ。成形パンチの圧力で磁性粒子の配向状態が乱されるため、平行磁場成形の磁気特性は直角磁場成形と比べて低くなる。ただし、製品の形状と磁化方向関係で、平行磁場成形を行わざるを得ない形状もある。
- 飽和磁化(Saturation Magnetization)
- 強磁性体の磁化の飽和値。磁性体内部は通常いくつかの磁区に分かれているが、外部磁場の増加に伴って磁壁の移動や磁区内での磁化回転が起こり、最終的には磁性体全体が一つの磁区(単磁区状態)になる。磁化容易軸と外部磁場の方向が一致している場合、この状態を磁化が飽和するといい、その時の磁化の値を飽和磁化という。
- 保磁力(Coercive Force または Coercivity)
- 磁性体が持つ磁化の向きに反対方向の磁場を作用させて、磁化または磁束密度がゼロになる時の外部磁場の値をいう。磁気分極(あるいは磁化)および磁束密度がゼロになるときの磁場の値を、それぞれ記号でHcJ、HcBと区別して記す場合があるが、磁気特性を評価する場合,通常保磁力とはHcJを表す。外部磁場に対する磁化の安定性ないしは外部磁場に対する抵抗力を意味しており、保磁力の大きな材料は硬質磁性材料、小さい材料は軟質磁性材料となる。永久磁石材料にとって最も重要な物性値である。
- 保磁力の温度係数(Thermal Coefficient of HcJ)
- 磁石の保磁力HcJは温度によって変化する。その温度変化を直線で近似した時の傾きを保磁力の温度係数という。単位はパーセント毎ケルビン〔%/K〕。希土類磁石では一般的に負の値をもち、絶対値が小さいほど保磁力HcJの温度変化は小さい。NdFeB系磁石では-0.40~-0.65[%/K]、SmCo系磁石では-0.17~-0.25[%/K]程度の値となる。
- ボンド磁石(Bonded Magnet)
- 微小な磁石粒ないしは微粉を樹脂等のバインダと混ぜ合わせて、成型固化して製造される磁石のこと。用いる磁石粉は、フェライト系磁石と希土類系磁石の場合がある。バインダを使用するため、製品形状の自由度、寸法精度は高い。しかし、非磁性部分を多く含むため焼結磁石と比較して、磁気特性が低く耐熱性も劣る。
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ま行
- マイナーループ(Minor Loop)
- 磁石の動作点は使用状況によって移動するが、この移動は一般に減磁曲線上をそのまま移動するものではなく、はじめの動作点の位置を起点としてヒステリシス曲線の内側に小さなループを作って変化する。この曲線をヒステリシス曲線のマイナーループと呼び、材料固有の曲線となる。リコイル曲線参照のこと。
- マクスウェル(Maxwell、[Mx])
- 磁束のCGS電磁単位。イギリスの物理学者マクスウェルにちなむ。磁束密度のCGS単位ガウス[G]とは、1[Mx]=1[G・cm2]、磁束のSI単位ウェーバ〔Wb〕とは 1 [Mx] = 10-8[Wb] の関係がある。
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や行
- ヤング率(Young's Modulus)
- 弾性率の一種で伸び弾性率ともよばれる。一様な太さの棒の一端を固定し他端を軸方向に引く場合に断面に働く応力をT、単位長さあたりの伸びをεとすると、ある範囲内までT=Eεという比例関係(フックの法則)が成り立つ。このときの比例定数Eをヤング率と呼ぶ。単位はパスカル〔Pa〕。磁石の機械的性質を考える場合にこの値を用いることがある。
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ら行
- ラジアル磁石(Radial Magnet)
- 円筒形の異方性磁石で、その磁化容易軸の方向が半径方向となっている磁石。ラジアル異方性の場合、着磁の仕方で磁石の磁極数や着磁パターンが調整でき、多極化やスキュー着磁によるコギングトルクの調整などが行える。またモータロータへの組立ても一般に容易であり、モータ製造コストが削減される。しかし磁石製造上の観点からは、ラジアル磁石は工程が複雑で生産効率や歩留まりが悪く、コストは上昇する。また、モータロータにおいて磁極の変わり目、すなわち磁束を発生させていない部分にも磁石材料が使われているので、セグメント磁石で製作する場合と比べて、使用する磁石重量が多くコストアップ要因となる。
- リコイル曲線(Recoil Curve)
- 磁気回路において、外部磁場の変化に応じて磁石の動作点が変化する場合のB-H履歴曲線。このB-H履歴曲線は必ずしもB-H減磁曲線とは一致せず、B-H減磁曲線の内側に入るマイナーループとなる。永久磁石の場合、ループは十分に細いため直線で近似し、リコイル線とも呼ばれる。またこのリコイル線に対応した比透磁率をリコイル透磁率と呼ぶ。
- リニア同期モータ(Linear Synchronous Motor、LSM)
- 1次側の電機子で発生した移動磁界に同期して、2次側の界磁磁極をもつ可動子が直線状を移動するモータ。電機子への入力信号に応じて、直接可動子を動かせるため、動作の精度や高速性に優れる。希土類磁石を利用したリニア同期モータは推力が大きく、応答速度が速いため近年その利用が大きく広まっている。
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