磁気回路解析 / 大型モータの渦電流解析

  • SPMモータ解析
  • IPMモータ解析
  • 分割磁石による渦電流低減
  • DRM均一磁場回路
  • プラズマ用磁気回路

大型モータの渦電流

大型モータの渦電流解析

永久磁石の高特性化と低価格化に伴い、電気自動車用モータ、鉄道用モータや風力発電機などの大型機にも永久磁石が使われてきています。使用用途の拡大により永久磁石も大きくなり、さらに高回転で使用されるようになることで、永久磁石からの渦電流による損失が問題になります。そこで、磁場解析によって磁気回路中の永久磁石の損失のシミュレーションし、損失を低減するための磁石形状を提案しています。

図は、交番磁界中に50x50x10mmのNd磁石をおいた場合の渦電流損失を求めた例です。交番磁界の強さは±12.3kA/m(±154Oe)、周波数2000Hz時の損失の分布です。図(a)は磁石を分割しない場合、図(b)は6分割した場合で、磁石1/4領域表しています。分割磁石で渦電流経路が細かくなる様子が分かります。磁石の渦電流損失を減らすには、磁石を分割するのが効果的で、渦電流損失と分割数との関係は図(c)のようになります。分割するほどの渦電流損失は減少し、分割数が増えると磁石形状のアスペクト比が大きくなる相乗効果で抑制割合が大きくなっています。

図をクリックすると、拡大図が表示されます。

非分割磁石の渦電流

図(a) 非分割磁石の渦電流

分割磁石の渦電流

図(b) 分割磁石の渦電流


分割数と渦電流損失

図(c) 分割数と渦電流損失

参考文献
青山,松岡:「交番磁界中の永久磁石における渦電流損失の解析」,電学回転機研資, RM-01-112(2001)
青山,大橋,宮田:「交番磁界中の永久磁石における渦電流損失の解析と実験」,電学回転機研資,RM-02-135 (2002)

▲Topへ

大型モータの渦電流解析2

希土類磁石を用いた大型モータの開発が盛んに行われています。そこでは、磁石の大型化による渦電流による発熱が問題になっています。磁場シミュレーションによって磁石の渦電流を解析し、対策による効果を定量的に把握することができます。 図(a)は、4極36スロットのIPMモータの解析モデルです。1極当たり2枚の永久磁石が埋め込まれています。出力は140kWです。このモータを図(b)で示す正弦波電流と電流歪が多くなったインバータ電流で駆動した場合の、磁石に発生する渦電流損失を計算しました。正弦波駆動で20W、インバータ駆動で710Wとなりました。正弦波駆動でほとんど発熱が無いので、このIPMモータではスロットリップルによる影響はほとんど無く、インバータの電流歪が発熱の原因になっています。

渦電流対策として磁石を分割することが有効です。磁石の分割数と渦電流損失の関係を図(c)にまとめました。磁石を分割し、間を絶縁することで渦電流の低減を図れることが明らかになりました。図(d)はインバータ駆動における、磁石分割なしと6分割の場合の磁石中の渦電流の様子を示したものです。磁石の分割により電流路が細分化していることが分かります。

図をクリックすると、拡大図が表示されます。

IPMモータの解析モデル

図(a) IPMモータの解析モデル

駆動電流の比較

図(b) 駆動電流の比較

磁石の分割数と渦電流損失

図(c) 磁石の分割数と渦電流損失


渦電流の様子

図(d) 渦電流の様子

図(e)はSPMモータのモデルです。コギングトルクを低減するために偏芯磁石を用いています。このモータを図(b)の正弦波電流とインバータ電流で駆動した場合の、磁石に発生する渦電流損失を計算しました。表1に示すように正弦波駆動で1850W、インバータ駆動で2760Wとなりました。正弦波駆動で大きな発熱が見られます。SPMモータではスロットリップルによる影響が大きく、更に駆動電流波形の影響が重畳されることが分かりました。図(f)はインバータ駆動時の磁石に流れる渦電流を表したものです。

図をクリックすると、拡大図が表示されます。

SPMモータ

図(e) SPMモータ

磁石に流れる渦電流

図(f) 磁石に流れる渦電流


表1

表1

参考文献
青山,松岡,近藤:「永久磁石同期電動機の磁石分割による損失低減効果の解析」, 平13電学産業応用部門, 115 (2001)
宮田,青山,横山,大橋,松岡,近藤:「着磁・減磁・渦電流損を考慮した永久磁石電動機の三次元磁界解析」, 電学論, Vol.123-D, No.5 (2003)
  • SPMモータ解析へ
  • IPMモータ解析へ
  • 分割磁石によろう渦電流低減へ
  • DRM均一磁場回路へ
  • プラズマ用磁気回路へ

▲Topへ